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日本語で読書をしたい学習者のための「多読クラブ」

元日露青年交流センター派遣教師

ウラル地方日本語教師・日露協会会員 門井美奈子

 

 みなさんの周りには、「日本語で読書をしたい!」と思っている学習者はいますか。エカテリンブルグでは、読書に興味がある学習者に向けて「多読クラブ」を開講しました。

 私は、2015年度から2年間、エカテリンブルグで日本語教師をしていました。その間、学生たちに日本語で本を読む楽しさを経験してほしいと思うことがありました。学習者たちが様々な本に出会い本を通じて他者と交流する機会の楽しさを得る場所や学習者たちがリラックスした雰囲気で日本語に触れる場所が作れたらと考えていました。

 そこで、2017年10月から約3か月間、ウラル連邦大学とベルツェン記念セントラル市立図書館で「多読クラブ」を発足しました。ウラル連邦大学では、大学2年生と3年生のグループがそれぞれ週一回クラブに参加していました。市立図書館では、日本語センター「夢」の協力のもと、週一回、参加希望者が集まり読書を楽しんでいました。

 私の「多読クラブ」では、「楽しく!」をモットーにしていました。多読クラブには、全く日本語で読書を経験したことがない学習者から、日本文学ファンまで様々な人たちが集まりました。活動内容は、まず前半1時間は、私も含め好きな本を選び各自読書に取り組みました。「楽しく!」を大切にしていたので、本を途中で変えることも大いに推奨しました。参加者一人一人が、微笑んだり、声を出し笑ったり、時には涙したり、自由に本と向き合っていました。その間、参加者たちには読書記録を持たせ、自分が読んだ本に関する情報や簡単な感想などを記録するよう促していました。記録を見て「たくさん読めた!」と意識化でき日本語での読書体験の自信につながる参加者もいました。また、読書記録は私と参加者とのやり取りの場としても活用していました。個人読みの後、ブックトークの時間を設けました。ブックトークでは、参加者同士が、本について話したり、読んだ本に対する思いを表現したりする活動を取り入れていました。

 「多読クラブ」では、授業とは少し異なる、心地よい静かな空間が漂っています。私も参加者の一員となり、参加者たちと読書に取り組み、彼らと共に「多読クラブ」の場を作り上げていました。

 

~Q&Aコーナー~

Q. 具体的に「多読」って、何ですか?

A. 外国語教育では、20世紀初頭から精読の対比として、Extensive Reading (ER) が注目されてきました。一般的に、ERは、言語習得の学習方法の一つとして認識されています。ERでは、「学習者は各自の言語能力の範囲で十分可能な大量な書物や他の読書教材を読むもの」(デイ・バンフォード2006:iii)としています。日本語教育では、多読という言葉がよく用いられます。多読実践では、「やさしいレベルから読む」、「辞書を引かないで読む」、「わからないところは飛ばして読む」、「進まなくなったら他の本を読む」(粟野他2012:16-17)という4つのガイドラインを示すことが多いです。

私の場合は、日本語での読書を楽しく体験してもらう場をデザインすることを目標にしながら、多読活動を取り入れました。私は、学習者たちが日本語の本に触れ、そして他者と本について共有する機会を得ることで世界観を広げてほしいと願っていました。

 

Q. 多読クラブではどんな本を使うんですか?

A. クラブには、日本語能力初級から上級の学習者まで様々な背景を持つ人が参加します。ですので、本の選定に常に気を配っています。主に使用する図書は、多読用に作成された多読教材です。レベル別に分かれており、やさしい日本語で書かれた本です。例えば、『レベル別日本語多読ライブラリーにほんごよむよむ文庫』、『にほんご多読ブックス』などです。その他にも、絵本、漫画、小説などもそろえています。本の選定は、多読実践者が、参加者の本の選び方や読んでいる様子を観察しながら、参加者一人一人の興味関心を知り本を揃えていくことも大切だと思います。

 

Q. ブックトークでは、具体的に何をするんですか?

A. 簡単に言うと、その日に読んだ本について参加者同士が話します。「私のお勧めの本」「一番好きな本」「私と本」「私と本」「本のPOP作り」「俳句作り」など様々なテーマを設けて、ブックトークを実施していました。例えば、「本のPOP作り」です。「本のPOP」とは小さな広告です。日本の本屋さんに行くと、本の紹介が書かれた小さな紙が飾られています。「多読クラブ」でも参加者が「本のPOP」を作り、飾っています。そうすることで、読んだことのない人へ自分が読んだ本の魅力などを伝えることができます。私がなぜブックトークの時間を設けているかというと、参加者に自分では選択しないような本に出合うチャンスになったらという思いを抱いているからです。ですので、ブックトークで話す際は、日本語でもロシア語でもよいとしています。

参加者が、運命の一冊に出会えたら素敵だと思いませんか。

 

私は、多読実践は、実践者の目的によって、色々な取り入れ方ができるのではないかと思っています。みなさんがえがく多読実践ができることを願っています!

 

参考文献

粟野真紀子・川本かず子・松田緑(2012)『日本語教師のための多読授業入門』アスク出版リチャード,R.デイ・ジュリアン,バンフォード(2006)『多読で学ぶ英語:楽しいリーディングへの招待』 (桝井幹生訳)松柏社